2012年07月25日

新メンバーが加わった稽古場の様子

ブログチームのツキジより、稽古場レポートです。
この日は北村を含め、現在日本にいるダンサー5人で行われる5回目の稽古。
東京公演に向けて2人の新メンバーが加わった稽古場は、とても華やかです。

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この日は三東、リアント、今津、西山の4人がメインとなっての構成を検討しているパートの練習です。
既にそれぞれの振りの大枠はできていて、この日はまずフォーメーションを決めていく作業がされました。

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その後、振りの細かな表現も含めて、わかりにくかったところをクリアにしていきます。
パートごとにダンサー同士で動きを確認してクオリティーを高め、全体を通したところを北村が確認・修正していく作業を繰り返し、細部をつめていきます。

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アイディアを出し合い和気あいあいとしたムードですが、メンバーの集中力は途切れず。作品がメキメキと創りあげられていくのを感じました。

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そして今、イスラム教徒のリアントは、ラマダンの最中です。この日が今回のラマダンが始まってから初の稽古。
日の出から日没まで、食事をとることができないリアント。稽古中にお祈りのため、途中で抜ける場面もありました。

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それぞれのダンサーの強い個性が共鳴しあう To Belong の稽古場!またレポートします。
posted by asuka tsukiji at 02:49| 稽古場レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月23日

森永さんにインタビュー(後編)

佐伯:<To Belong>の音楽ということで、これまでの作品とは異なる「特別な取り組み」があったら教えて下さい。

森永:実は、今までダンスの音楽を担当したことは数回しかなくて、しかも、その時は自分の音楽を渡すというものだったので、演劇では経験したことがあるけれど、ダンス作品の為に音楽を作るのは初めてなんです。今回は、映画制作の時に出てきた不完全燃焼の問題意識を、こういった舞台でうまく解消させながら作るということを気にして取り組んでいます。例えば音量でいうと、映画よりも大きな音が出せるから、細かい音も聴くことができる、そういうところから観ている人が何かしらの「記号」を見つけてくれたら良いかな。後はやはり、「僕らしさ」を出すことを大切にしています。ワーク・イン・プログレスの時はまだ上手くいかなかったけど、サリハラ劇場(インドネシアでの公演)でそれが掴めてきました。

佐伯:順調に制作が進んでいるようですね!本作は初めての試みでもあるということですが、音楽ディレクターを担当されてみて、大変なことはありますか?

森永:皆が共鳴する所を見つけ出すのが大変です。照明・映像が持つ力とダンスが持つ力を、音楽が上手く引き合わせていけるようなディレクションを意識しています。映像の内容も実写のみではないし、ダンスも日本のものもあればインドネシアのものもあるし、伝統的なものも現代のものもあるし、そういったものを含む全体に合う音楽には、物語がないとダメなんですよ。「ナラティブ」(物語性)が一番重要です。まずは、全体の物語が一致することを大切にしています。

佐伯:音で紡ぐ「ナラティブ」、領域横断的な本作の中でどのように聴こえてくるのか、楽しみです。インドネシアでの制作活動、そして、サリハラ劇場での公演を終えられて、多くの収穫があったようですね。今回のインドネシア滞在で、<To Belong>に音楽家としても参加されているインドネシアの芸術家、スラマット・グンドノ氏とも初めて会われたようですが、どういった話をされたのですか?

森永:グンドノに「あなたのやりたい音楽にソウルを感じた。アプローチは間違っていない」と言われて、ほっとしました。というのも、グンドノが弾いているウクレレのフレーズのコード進行を拾って、異なる楽器の音で表現したり、グンドノの声をだんだんと崩していくフレーズを入れてみたりしていたので・・・。そうすることで全く違う音になりますが、グンドノの歌の力強さを表現したかったんです。グンドノはそれを聴いて共感してくれました。音を切り刻んでも、曲のもつ強み、行間を崩さないように、グンドノの演奏を録画した映像を鑑賞しながら制作しました。

佐伯:グンドノ氏と森永さん、お二方の音楽を聴くと、大きく異なる音楽へのアプローチにも聴こえてきますが、実は、こうして作品の中で豊かな交流をすることが可能なんですね。森永さんの「音楽というのは、上手い下手ではなくてスピリットの問題だと思うから」という言葉が、印象的でした。今回インタビューさせてもらい、私自身初めて知る情報が多くありました。しかしながら、森永さんに話してもらったことで、それらに「親しみ」を覚えられたように感じます。
   
                   ―――終わり―――
posted by naoko saiki at 12:24| メンバー紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

森永さんにインタビュー(前編)

音楽ディレクターの森永さんに、ワーク・イン・プログレスからジャカルタ公演まで、どのような制作活動をなさっていたのか、また、森永さんの音楽制作スタイルについて、インタビューをしました。

佐伯:インドネシア入りされてから、ダンサーの方々、そして映像の石川さん、それぞれが別の場所で作業を進められたようですが、森永さんはどのように制作活動を進められたのでしょうか?

森永:(音楽制作にあたり)「フィールドワーク」を活動の主体にしているから、転々と場所を変えて制作をしていました。その為、使う機材は大きな機材ではなくて、コンピューター1台とか小型のキーボード等です。ずっと遠隔地の環境だったので、(ドラマトゥルクも担当されている映像作家の)石川さんから映像を送ってもらったり、移動した場所でスタジオに入ったりして、制作を進めました。

佐伯:「フィールドワーク」を主体にしているということ、その部分について詳しく教えて下さい。また、そういった活動をする時に、大切にしていることはありますか?

森永:「フィールドワーク」が主体というのは、つまり、その場所に行って、その場所に自分が在ってコミュニケーションをし、そこから音楽制作がスタートするということです。行き先は本を読んでから決めますが、現場ではコミュニケーションから始まります。
コミュニケーションとは、自分と他者が完全にイコールで、対等に話せないと意味がないでしょう。僕のマイクを相手に向けてばかりいたら良くない。だから、マイクとか録音機を小さくして、相手がリラックスをして録音するようにしています。制作において大切なことは、小型の録音機を持って相手と親しくなることです。
映画ではドキュメンタリー作家がよく言うけれども、例えばロバート・クレーマーとかフレデリック・ワイズマンとか、カメラを相手に気付かれちゃだめだと言っていて、それと同じで、録音機とかマイクとかで「構えて」しまうと、相手の素の状況を録音できない。だから、音声とか音楽とか、人間に関わる時には特に注意しています。そして、もう1つすごく重要視しているキーワードがあって、それは「モビリティ」(携帯性)。「モビリティ」によって、対象と一緒になり、そこから出てくる音楽を録音することが出来るようになるので、これは、手法の1つとなっています。

佐伯:「フィールドワーク」とコミュニケーションについて、とても納得です。実際に、森永さんがレコーディングする風景を見学させてもらった時、いつのまにか録音が始まるといった印象を受けました。私自身、それまでのレコーディングへのイメージは、スタジオに入って、リハーサルの後に緊張しながら挑むもの、失敗しないように緊張するものでした。「モビリティ」の高い機材が登場することで、新たな「手法」が生れ、それにより表現の幅が広がってきたとのこと、その部分について教えて下さい。

森永:エジソンの録音機が生れた当時は、トラック1台分の発電機を持って行ったり、何十メートルもするケーブルを持って行ったりしていて、録音する為の機材とか録音できる環境とかが、すごく制限されていました。第二次世界大戦が終わって「マグネティックテープ」が生れてから、録音機が小型化して、映画業界とかものすごくドキュメンタリーが増え始めたという流れがあります。例えば、スイスの『ナグラNAGRA』という磁器録音のテープが、戦後、「音質」と「モビリティ」の点から欠かせない機材となりました。フィールドレコーディングはロケーションで録音する為、相手との関係もあり、「モビリティ」の問題を重要視していくことが大切なんです。

佐伯:以上、インドネシアでの制作活動から、森永さんの音楽制作の一端を垣間見させてもらいました。レコーディングというコミュニケーション、そして、表現手法と機材の問題といった専門的な部分まで、とても分かり易く話して頂きました。
                 ―――続く―――
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ロバート・クレーマーRobert Kramer(1939-1999)
アメリカの映画監督であり、俳優、脚本家でもあった人物
フレデリック・ワイズマンFrederick Wiseman(1930-)
アメリカのドキュメンタリー作家
posted by naoko saiki at 12:22| メンバー紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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